Ohisama Story

Story 04

笑顔から
暮らしを変えていく

「何も話したくない」
その女性は、そう言っているようでした。

歩くことが難しいある女性の家に
はじめて訪問診療へ行ったときのこと。
その方は、コミュニケーションが苦手というか
あまり良く受け入れられてもらえない感じで
うまく話すことができませんでした。

だけどその女性は
歯の調子が悪く、入れ歯がないと
うまく食べることもできない。
人生の喜びを失ってしまったよう暗い表情をしていました。

私たちは、少しでもお役に立ちたいと
その女性のお口を調べさせてもらい、
違和感のない、ぴったりな入れ歯を
技工士と一緒に何回も試行錯誤しながら作りました。

そして、その入れ歯をお渡ししてからのこと。
今まで何も話してくれなかった女性は
「こんなに食べられるようになって私は幸せ。
歯磨きにも興味が出てきたのでぜひ教えてください」
と、笑顔で話してくれました。

話すことが苦手だった人が、入れ歯でこんなに変われるのか。

私たちの仕事は、歯の治療ですが、
笑顔で生きるためのお手伝いでもあります。
たった一つの入れ歯でも、笑顔が変わる、暮らしが変わる、
人生までもが変わっていく。

その女性は、入れ歯を作っても終わりではなく、
その後のお口の健康を維持するため、
口腔ケアを行っています。

歩くことが難しいご高齢の方の中には
食べる喜びを失った人がもっとたくさんいるはず。
そんな一人ひとりの笑顔を取り戻す訪問診療を
私たちは、これからも目指していきたいと思います。

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